もしも作戦

もしも、こんな世界になったらいいな。
もしも、空を飛べたらいいな。
もしも、空を飛べたらいろんな国に行って、
いろんな人に会えるな。

もしも、食べ物が腐らない道具があったらいいな。
もしも、そんな道具があったら、
美味しいものを保存しておける。

もしも、健康だったらいいな。
もしも、健康だったら何をやっても楽しいだろう。


もしも、こんな世界になったら嫌だな。
もしも、カサがなかったら嫌だな。
もしも、カサがなかったら雨の日に
ズブ濡れになってしまう。

もしも、トイレがなかったら嫌だな。
もしも、トイレがなくて、
みんながその辺で用を足していたら、
臭くてたまらない。
疫病だって流行ってしまう。

もしも、戦争になったら嫌だな。
もしも、戦争になったらいっぱい人が死ぬ。


空を飛びたいと思ったから、飛行機ができて、
保存しておきたいから、冷蔵庫が生まれて、
健康を願うから、養生する。

ズブ濡れになりたくないから、カサが発明されて、
臭いのは嫌だし、疫病はいやだから、トイレができた。
死にたくないから、死んでほしくないから、
悲しい思いはしたくないから、平和を願う。
その思いが憎しみを超えているときに
平和は保たれる。

「こうなったらいいな」の世界と、
「こうなったら嫌だな」の世界をうまく想像することができたら、
きっといい世界が生まれて、
嫌な世界が生まれるのを防ぐことができる。

簡単そうでいて、
実は、簡単ではないのかも知れないのだけれど。
いいときは、それが当たり前だと思ってしまうし、
わるいときというのは、
ノドもと過ぎれば忘れてしまうから。

でも、いや、だからこそ、
ときどき、もしもの世界を真剣に想像してみよう思う。