養生訓

養生訓

江戸時代に、儒学者・貝原益軒によって書かれた「健康指南書」とも
いうべき本で、飲食・運動・睡眠・性生活・酒の飲み方・入浴の仕方・
心労について・薬について・鍼灸について等々記されています。

とても全部は実行できませんが(全部やろうと思ったら窮屈で、かえって
具合が悪くなるかも)、そのほとんどは、現代でも十分に通用します。

中には「夜、寝ているときに雷が鳴ったら、起きて正座をする」という
ちょっと理解に苦しむものもありますが、好意的に解釈すれば、
「自然の恩恵を受け、生きているのだということを常に忘れるべからず」
といったことでしょうか?

基本的には「粗食で、たくさん働けば、長生きする」といった内容ですが、
粗食であればそれで良いのかというと、生きていくため必要な栄養は
取らなくてはなりません。もちろん、取りすぎてもダメです。

老年学の柴田博博士(桜美林大学)は「養生訓が導いた誤り」として、
次のように述べています。

「養生訓」には、過食の戒めはあっても、粗食の害は書かれていない。
これは、上級武士や富裕な商人など一部の特権階級のためにのみ
書かれた健康読本に間違いない。
栄養源となる食べ物があまりにも少なかった時代に、支配者階級は、
質素・倹約を下級武士や農民に押し付ける必要があった。

悲しいことに、もともと栄養が取れていない民衆にまで
「生臭いものを食せず、まずいものを食べて、もっともっと働けば長生きする」
と「養生訓」は信じ込ませてしまった。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」。バランスが大切ですね。

画像

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック